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 現在では、アニメーション制作の多くの工程がデジタル化され、インク&ペイントや撮影はコンピューター・ベースで処理されるようになりました。 しかし、平面をベースとした絵づくりの技術は基本的に変わることはありません。

 アニメーターの手によって命を吹き込まれ、演出家の意図によってストーリーが語られるアニメーション制作の要の技術は今後も変わることはないでしょう。 ここでは時代時代の技術的な制約の中から生み出されたアニメーション制作者たちの創意工夫を紹介します。 (各鉛筆・サムネイルをクリックするとページに移動します)


 平面に描かれたキャラクター達は、自分たちの世界が現実と同じ3次元的な奥行きを持った空間であると信じています。 そこでアニメーターやレイアウト・マン達は、平面上に必要な奥行きを表現する為に遠近法を駆使して作画します。 しかし、それでも更にリアリティのある奥行き感を表現したい場合があります。

 そこで考案されたのが、キャラクターの動く層と背景の層を物理的に離して撮影する立体撮影装置です。  有名なものでは1930年代にウィリアム・ギャリティが開発したマルチプレーン・カメラがありますが、ほぼ同時期にフライシャー・スタジオでは、ミニチュア背景を使用したステレオプティカル・カメラというユニークな立体撮影装置を考案しました。 
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 1930年代後半から、カートゥーン演出におけるカメラワークの重要性が認識され、実写映画と同様に、カメラ・アングルや動きにもストーリー・テリングの要素を持たせる試みが始まります。 中でもフライシャー・スタジオ制作の短編漫画映画「スーパーマン」シリーズは、その後のフィルムノワール映画を先取りしたカメラ・ワークが用いられました。

 キャラクターの動きに用いられるリアクションやフォロー・スルーを取り入れたカメラワーク、不安な心理を表現するダッチ・アングル(傾斜アングル)、明暗の差を誇張したキアロスクーロ等、すべての素材を手作りで制作しなければならないアニメーションだからこそ実写以上に計算されたカメラワークが可能になります。 (サムネイルをクリックすると詳細に移動します)


 火や水、爆発や波など、エフェクト・アニメーションと呼ばれる自然現象も漫画映画を構成する重要な動画要素です。

 漫画映画の黎明期はアニメーターがキャラクター動画と自然現象動画を一人でこなしていましたが、1930年代後半、ライバル各社がより品質の高い作品を制作する時代になると、キャラクター・アニメーターと自然現象を専門とするアニメーターとの分業体制が始まりました。

 彼らは火や水の物理法則はもちろん、作品全体のスタイル(美術デザイン)統一を考慮しながら複雑なアニメートに取り組みます。 (サムネイルをクリックすると詳細に移動します)


 人や動物の動作には、一定の運動パターンに分類できるものと、複数の運動要素から成り立っているものとがあります。 前者の場合は、動きの鍵となるフレーム(キー・フレーム)を原画家が描き、中間の動き(インビトゥイーン)を動画家が描くという分業制作が可能になりますが、後者の場合、動きの内容によっては大部分がキー・フレーム要素となり、分業制作が難しくなることがあります。

 特に複雑なステップで構成されるダンスのアニメート等は、1つのターンの中に複数のクイック・ステップが混在するので、かなりの技量と経験が要求されます。 しかし、マルチ・タイミングこそ動きの面白さと「生命を吹き込む」アニメート本来の意味を追求できるアニメーションの醍醐味といえるでしょう。 ここでは漫画映画黄金時代に花開いたキャラクターのマルチ・タイミングを研究してみます。
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