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 絵を描く仕事に限りませんが、創造的な物づくりに従事する人は、必要だと思われる資料は必ず自分の手で収集し、分類整理しています。 この作業と仕事で得る経験とを合わせて、頭の中に「引出し」というものが生まれます。

 「引出し」の内容は仕事に取り組む際の問題解決の糸口になったり、自分の持ち味を出す秘訣になったりします。 また、「引出し」の数の多さは、そのままクリエイターの素養の奥深さを示すことになるわけです。 稀に受注先から資料提供される場合もありますが、その場合でも、関連する内容は自分でスケッチしたり別途入手して、後に自分の引出し用として整理します。
 このコーナーでは1例として、これまでの仕事を通して得られた自分なりの「引出し」と、その作成方法をご紹介します。


 頭の中の引出しが豊富であっても、やはり人間なのでコンピュータのように、いつでも瞬時に正確な形で取り出せるというわけにはいきません。 それを補助するような資料形式がスクラップ・ブックです。

 身近なチラシや無料で入手できるパンフレット類からでもこまめに収集整理すれば自分だけの価値ある資料が作成できます。(手間はかかるもののお金がかかりません)

 また、キャラクター・デザインを考えるときにも切り貼り形式によるスクラップは思いもよらぬ効果を発揮します。 どんなにベテランの絵のうまいアニメーターでも、いきなり決定稿のような完成キャラクターは生み出せません。 ディズニーやフライシャー、ワーナーやMGMのカートゥーン黄金時代のモデル・シートは、みんな切り貼りによるシェイプアップからスタートしているのです。


 雑学的な引出しは、仕事の内容や関心のある分野によって人様々ですが、時には古典や文献など文字のみの書物でも貴重なヒントを与えてくれることがあります。 中国春秋戦国時代の軍編成記述にある「里有司(りゆうし)」や「郷良人(きょうりょうじん)」の階級と率いる編成規模は?、「品階」による身分に応じた服装の長さと色は?等、多くのことを学びました。 また、文字だけの記述から絵に起こしていく訓練にも大いに役立ちます。

 ここでは歴史ものの仕事の資料となった中国の古典「四書五経」や「諸子百家」・「兵法書」に関するエピソードを紹介します。

* NEW 昭和の児童書など

 現在の少年少女雑誌と違い、昭和30年〜昭和40年代前半の雑誌には、漫画以外にも詳細なイラストで構成された記事や図解、絵物語が数多く掲載されていました。

 今から見ればかなり時代遅れの内容もありますが、それでもその多くが当時一流の挿絵画家やイラストレーターが担当し、歴史的な出来事から想像上の物事まで精細で魅力溢れる筆致で描かれていました。 見るものの心をとらえながら絵で情報を伝えるという視覚情報伝達の取り組みはアニメーション制作と共通のものがあります。

 また、表紙はその雑誌の顔であり、その当時の流行や関心ごとを映す鏡です。 雑誌の表紙だけを年代順に並べてみると、時代の大きな流れを把握することができます。 他にも当時の市井の人たちの暮しや風俗を知る1級資料にもなるので、レトロ的な内容が求められる仕事にも重宝しました。


 ヘイリー・ミルズ(女優)は、ディズニーの実写映画「ポリアンナ(1960)」(原作「少女パレアナ」という邦訳で出版されている場合もあります。)や「罠にかかったパパとママ(1961)」・「難破船(1962)」等に出演した1960年代前半を代表する子役からスタートした女優です。

 ディズニー作品が多く、またアメリカナイズされた役柄が多いことから米国生まれと思われがちですが、名優ジョン・ミルズを父に持つ英国生まれで、いわゆる大人の役者顔負けの演技派タイプの子役として一世を風靡しました。

 1960年代前半に見たディズニー実写版劇映画も漫画映画同様、子供時代の感性や絵心を磨くのに十分な役割をはたしました。 「ポリアンナ」・「罠にかかったパパとママ」・「難破船」・「夏の魔術」のサントラやパンフレット、雑誌等も合わせて掲載しました。(右の写真は双子の役を演じた「罠にかかったパパとママ」より)

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